ねぎしかずこ根岸 加寿子

暮らし良い横須賀に
日本共産党横須賀市議会議員
ブログ

保育ママ宅での乳児死亡の裁判について、「市は控訴すべきではない」と主張

2020年6月13日

今から約10年前、横須賀市内の保育ママ宅にて、当時生後4か月の須田颯生ちゃんが吐乳吸引による窒息で死亡。

保育環境や発見時の様子に不審な点が多く、須田さんは、保育ママと、委託していた横須賀の双方を相手取って裁判を起こし、先月5月25日に、勝訴。

しかし、市は、5月28日、控訴する方針を表明、

6月1日、議会に控訴方針の賛否を問う議案を提出してきました。

この議案はまず、私の所属する教育福祉常任委員会にかけられました。

この中継をネットで御覧になった原純子さんがその模様をフェイスブック(ほうんネット)上に記述されておられますので、そのかたのご了解のもと、ここに一部、掲載させていただきます。

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本日6月1日、横須賀市議会・臨時議会が開かれ、須田さんの起こした裁判の横浜地裁(横須賀支部)判決を不服として控訴する方針(62号議案)が市側より提出され、自民党、公明党、よこすか未来会議等が賛成、日本共産党のねぎしかずこ議員・井坂直議員・大村洋子議員と無会派の小室卓重議員、小林伸行議員、藤野英明議員が反対を表明。

賛成多数で控訴方針が可決されました。

本会議に先立ち、教育福祉常任委員会で審議が行われ、私はネット中継で視聴しました。

竹岡力委員は「いたずらに長引かせないように。和解も追及を」と発言。

日本共産党のねぎしかずこ委員は「地裁判決のとおり、『5~10分おきにチェック』の知見は妥当。実際その後横須賀市は指導を「5分間隔」に軌道修正したではないか」「いさぎよく判決を認め、教訓とすべきで、控訴すべきではない」と主張。

ところが子ども育成部長は「当時は別の専門家で15分という知見もあった。」との主張にしがみつく答弁。

ねぎし委員が「原告(乳児)が、亡くなってから10年、裁判から6年。『石にかじりついても原因究明したい、もう二度と事故を起こさないようにしてほしい』というのがご遺族の思いだ。」「新たな証拠や証人も予定していない中で控訴して、いったい何を得たいのか?」との問いに「当時私どももできる限りのことをしていたということを認めてほしい。家庭福祉員も心痛が募っている」との答弁。あきれるばかりでした。

小室卓重委員も、控訴反対の立場で、当時の「15分おきの指導」は誤りだったこと、「入所まもない子には複数の目が必要」との厚労省の解説書があったことを理由に上げました。

子ども育成部長は、各委員からのご遺族の負担への質問に対し、「なるべく負担のかからないように」とか「和解などには応じる方向で」との答え。

しかし、そういうならば、控訴をしないことこそが、ご遺族に対する最も誠意ある態度だということを市長に申し上げたいです。(以上、原純子さんの記述)

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議事録のアップはまだ先になりますが、ここより↓視聴できます。映像はまだ切り分けられておらず、その部分の映像をさがすのに一苦労するとは思いますが、

竹岡力・ねぎしかずこ・小室卓重の3議員が、委員会開始から1時間17分50秒後から、この順で質疑を交わしています(ねぎしの質疑は、1時間24分30秒から)

https://smart.discussvision.net/smart/tenant/yokosuka/WebView/rd/speech.html?year=2020&council_id=53&schedule_id=103&playlist_id=0&speaker_id=0

そして、その後の本会議では、全議員参加のもと、討論が行われました。

賛成討論はなく、反対討論は、ねぎしかずこ・小室卓重・小林伸行議員が、この順で行いました。

以下が、私の行った反対討論です。

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日本共産党のねぎしかずこです。

私は、日本共産党を代表し、議案第62号、訴えの提起について、反対討論をいたします。

「乳児死亡5千万円賠償命令 / 横須賀、保育ママと市に」という大見出しで、全国的にも大きく報じられた、525日の判決における本市の敗訴部分について、本市は控訴しようとのことですが、私たちは、断じて控訴すべきではないという思いで一杯です。

判決後の会見で、吐乳吸引による窒息死が死因とされた須田颯生ちゃんのお母さんである博美さんは、「救えたはずの命だったんだ、と言ってもらった判決だと受け止めた」と語っておられました。

判決文の51ページには、こう書かれています。

「被害者が本件事故により死亡したのは、被告(の保育ママ)が、吐乳により呼吸を妨げられる状況に被害者を置いたのに、漫然と15分間隔で睡眠時チェックを行うにとどまったためであるから、被告(の保育ママ)が同状況に被害者を置いたにせよ、被告の横須賀市が同指導研修実施義務に従い、被告(の保育ママ)に対し知見に即した指導をしていれば、本件事故による被害者の死亡を回避することができたといえる」と記されております。

被告横須賀市みずからが裁判所に提出したと思われる、家庭的保育基礎研修テキストであった当時の「家庭的保育の基本と実践」と題する本の56ページには、「0歳児は睡眠時には5分~10分おきごとに観察し異常の有無を記録しておくのが望ましい」と書かれており、また、原告が裁判所に提出した当時の「保育所の保育内容に関する調査研究報告書」これは、厚労省の補助事業として日本保育協会が実施した結果をまとめたものですが、これにも、「0歳児は5分に1回、タイマーを使って定期的に呼吸の確認をし、」と明記されております。

すなわち、本市はその知見を知り得ていたにもかかわらず、睡眠時チェックの間隔を15分としたのは、判決が言うように、指導研修実施義務違反としての違法な公権力の行使との認定を受けざるを得ないものです。

そして解せないのは、本市は、これは颯生ちゃんの死亡を受けてのことと思われますが、やっとその約5年後、今からでいえば約5年前から、睡眠時チェック間隔を5分に見直しています。当然の改善措置です。

が、それなのに、本市は、かたや裁判では、見直したほぼ同期間である約6年間にわたり、15分というこの判断を違反ではなかったと認めてほしいと主張し続け、さらに控訴してこれからも主張しつづけようとしています。

現在は5分でチェックされているとしても、本当に、颯生ちゃんが死んでしまったという途方もなく重い出来事を、契約の履行上はもちろん、道義上も、行政は本当にしっかり受け止めているのだろうか、と暗たんたる気持ちです。

まずかったのでは、との指摘を受けたくない、敗訴したことを行政側の落ち度と捉えられたくない、これにいつまでも拘泥しているように感じられてなりません。

今、本市がやるべきことは、控訴ではなく、これを機に、一刻も早く、現在行われている本市の5分という睡眠時チェックを、市内の保育園においても、市が委託している保育ママの現場においても、こどもの安全を心から願って推し進めるということにこそ、全エネルギーを注いでいくことではないでしょうか。

今、5分での確認をがんばってやっておられる保育関係者のかたへの確信と励ましにもなるでしょう。

また、吐乳吸引による窒息死など、乳児の突発的な出来事に対する備えへの心構えが格段にあがり、事故が起こってしまったとしても、救命率がぐんと上がるのではないでしょうか。

厚生労働省・内閣府の発表によれば、保育中の死亡事故件数は、その9割が睡眠中の事故であるといわれております。また、勝訴が確定すれば、このようなケースで争われている中で初となるとのことで、計り知れない良い影響が全国に広がることでしょう。

きのう531日は須田颯生ちゃんの10回目の誕生日でした。

とっくに小学生になって、横須賀市民のお仲間になっているはずの颯生ちゃんですが、私たちに、4か月の生涯をかけて、大きな一石を投じてくれたのだと思っています。

529日、須田博美さんから、横須賀市議会議員の皆様へという、以下のような嘆願書が届きました。

今一度、ここで、読み上げさせてください。

 

横須賀市議会議員の皆様へ/令和2年5月29日/横須賀市保育ママ事故についての嘆願書/保育ママ乳児死亡事故遺族・須田博美

私は、2010年に横須賀市内の家庭保育福祉員(保育ママ)宅で亡くなった子どもの母です。

息子の名前は颯生(そうせい)といいます。颯爽とたくましく生きていってほしいと願って名付けました。

可能な限り早く職場に復帰する必要がありましたが、保育園に空きはなく、保育課で紹介された保育ママに預けることになりました。

そして、通常保育開始の初日、私の職場復帰初日に、息子はたった四か月足らずで亡くなってしまいました。死因は「吐乳吸引による窒息死」です。

息子に何が起きたのかを知りたい、その一心で2014年に民事訴訟し、先日25日に判決が下りました。実に6年の月日がかかりました。

判決では、息子の死は防ぐことができた事故によるものであったことが認められ、保育ママと連帯して横須賀市の責任についても言及しています。

ところが昨日、横須賀市が控訴する方針を表明したとの報道がありました。大変驚き、ショックを受けています。

私は、率直に申し上げて、控訴をしないでいただきたいと思っています。控訴が権利としてあるのはもちろん承知しております。

ですが、息子がなくなってから10年です。

「真相究明なくして真の再発防止策は講じられない」との思いで、6年の異例ともいえる長きにわたる裁判を闘ってきました。

この間、全国各地の保育施設で同様の事故が起き、命が失われてきました。もっと早くに結論が出て、対策を講じていれば、この子どもたちを救えたかもしれないと、ニュースを聞くたびに、同じ遺族となってしまった家族たちへ申し訳ない思いも感じてまいりました。これから東京高裁での審議が始まれば、また何年もの月日が費やされ、いつになったらきちんとした再発防止の策がなされるのかわかりません。

このような悲しい事故が二度と起きないよう、ここから先は、子どもの命をどうしたら守れるかということに、横須賀市にも共に力を注いでいただきたいのです。

ぜひご理解いただき、お力添えをいただけますようお願い致します。以上が須田博美さんの嘆願書の全文です。

 

勝ち負けを超え、こどもたちの安全を願う、そのお気持ちに、何とか応えたいと思わずにはいられません。どうか、本市も、その道に足を一緒に踏み出してほしい、それにはまず控訴せず、判決を受け止めることではないでしょうか。

議場におられる皆様からの賛同を得られますこと、切に願って、日本共産党の反対討論といたします。

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なお、反対討論の映像も、↓ここより視聴できます。14分後からその部分の映像となります。御覧ください。

https://smart.discussvision.net/smart/tenant/yokosuka/WebView/rd/speech.html?year=2020&council_id=53&schedule_id=102&playlist_id=0&speaker_id=0

そして、議会の結果を受けた4日後の6月5日、市は横浜地裁横須賀支部の判決を不服とし、控訴したのです。

なお、これ↓は、現在、市が家庭保育ママへの研修で使用しているものです。

チェック睡眠時

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