8月15日、#東京新聞 の #平和の俳句 特集欄に載せていただきました。
・・・桃の汁したたり落ちて父出征・・・
昭和18年6月、長沢にお住いの知人が3歳の時の話です。
お父さんが戦地に出発となり、横須賀・逸見の衛門までお母さんと見送りに来たときのこと。
途中、汐入の新井閣(今はない)にさしかかった道端の石段に腰掛け、長沢で採れた桃をみんなでほおばった。これが最後の団欒になろうとは。
したたり落ちる桃の汁は、泣くことも許されなかったお母さんの思いでしょうか。
そしていよいよ、高い塀で囲まれた基地入り口でまた立ち止まり、知人を抱いて「良い子してたら、三輪車買ってくるからな」と言い残し、中に消えたとのこと。
翌年2月にケーゼリン島で絶命。31歳でした。食料の補給もなく多くの餓死者を出したといわれるこの島で、お父さんは空を見上げては、どんな思いにかられていたのでしょうか。
・・・白い雲三輪車になり吾子を乗せ・・・
今、国際芸術祭・愛知トリエンナーレ2019の企画展のひとつ「表現の不自由展・その後」がテロ予告などで中止に追い込まれ、再開を望む声もあがっています。
ところで、この企画展は、美術館などで展示を拒否または撤去された作品を、経緯とともに展示。公民館便りに掲載拒否された「9条俳句」なども展示されていたとのこと。
東京新聞の「平和の俳句」は、この「9条俳句」問題をきっかけに、戦争に向かう空気にあらがおうと呼びかけられたものだそう。
当時〈梅雨空に「9条守れ」の女性デモ〉という俳句が、さいたま市の公民館の月報に掲載を拒否され、その後、市の違法性を認める判決確定後、市教育長が作者に謝罪し、今年2月に掲載されました。
戦前、時の権力者は国民に「言わせない」「知らせない」で戦争に巻き込みました。
「言わせろ」「知らせろ」が、忍び寄る戦争をいぶし、遠ざけます。
・・・戦争の蚊取り線香は表現の自由です・・・(だれか、俳句にしてください。)。