≪2016年9月2日・第3回定例会・一般質問≫
横須賀市立中学校の総合的な学習の時間を使っての職場体験学習では、自衛隊での体験も行っているとのことです。
なお、「総合的な学習の時間」は教育課程の一部であり、その編成権は学校にありますので、学校が自主的に判断するものと承知はしておりますが、子どもたちの将来や命にかかわるほどの大きな問題を含んでいると思われますので、質問することにいたしました。
まず、いつ頃から、どの学校で行われてきたのでしょうか。
【教育長答弁】平成14年度から総合的な学習の時間が位置づけられ、それ以降、多くの学校で職場体験学習が導入されてきた。その体験先のひとつとして自衛隊が位置づけられたのは、平成20年度あたりから。
昨年度は、追浜中、田浦中、不入斗中、衣笠中、浦賀中、久里浜中の6校で行った。
そして、実施するに至った経緯は、どのようなものだったのでしょうか。
【教育長答弁】生徒の希望をもとに依頼し協力を得られるようになったり、地域での会合の中で協力の申し出があったりしたことによって体験先のリストに入り、その中から生徒が選択して実施している。
次に、自衛隊の任務が大きく変わろうとしている今、他の職業体験と同列に扱っていいのでしょうか。
というのも、安倍政権は、安全保障関連法にもとづき、自衛隊に国連平和維持活動(PKO)での「駆けつけ警護」など新任務の訓練開始を決定しました。しかし、新任務を想定する南スーダンは事実上の内戦状態で、PKO参加原則である停戦の維持も、当事国の同意も危うくなっています。安全保障関連法発動による任務拡大となれば、憲法が禁じる武力行使となり、「殺し殺される」ケースになりかねません
自衛官になれば、このような行為を職務として命ぜられることになりかねないことを、生徒にきちんと伝える必要があるのではないでしょうか。
【教育長答弁】体験先を事前に学習する必要があると考えており、各学校では、そのように対応している。しかし、安全保障関連法については、現行の学習指導要領には具体的な記載はなく、現在横須賀市が使用している中学校の社会科の教科書にも触れられていないため、扱わなくてはならない内容ではない。
生徒が、専守防衛や災害救助なども担ってきたこれまでの自衛官の職務のままのイメージを描いて職場体験を希望したとすれば、そこには大きな違いが生じており、伝えないという不作為は、気づかせることなく生徒を職場体験に送り出そうとすることです。それは、結果的に、生徒の将来の方向や命さえも左右するほどのものとなりかねず、無責任で不誠実なやり方と思います。
よって、このような大きな問題を含む自衛隊での職場体験を、他の職場体験と同列に扱うことはできないと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
【教育長答弁】職場学習体験は、生徒の勤労観や職業観を養い将来の自分の生き方を考えるきっかけとして捉えている。自衛隊の職場体験もその学習のひとつとして捉えており、他の職場と区別する必要があるとは考えていない。
また、このような問題があることを、横須賀市立中学校の校長および教職員に伝え、今後、各学校で、自衛隊への「職場体験学習」を自粛するよう促すことを求めるものですが、いかがお考えでしょうか。
【教育長答弁】各学校では、体験先の選定にあたっては、適切に決定しており、今後も適切に行われるよう働きかけていく。