2014年 10月 6日
横須賀市長 吉田 雄人 様
2015年度横須賀市予算に対する日本共産党市議会議員団の要望 |
日本共産党横須賀市議会議員団
井 坂 新 哉・ねぎしかずこ・大村洋子
はじめに
日頃からの市政へのご尽力に敬意を表します。
安倍政権は、今年4月から消費税を5%から8%へと増税を強行し、来年10月にはさらに10%にしようとしています。4月の増税によってGDPの減少が予想をはるかに超え、国民の実質所得も減少しているなか、円高誘導もあって諸物価が高騰し、国民の暮らしの破壊、景気のさらなる悪化が危惧されています。
東日本大震災の復旧は深刻な立ち遅れの状況です。福島原発事故の収束もままならず、汚染水問題を含め放射能災害の問題は原子力空母の母港である本市にとって重大な関心事です。今年の1月にはジョージ・ワシントンからロナルド・レーガンに交代することが明らかとなりました。放射能災害対策の見直しが放置された状況で交代を認めることは市民のいのちと安全を無視しているとしか言いようがありません。
さらに、安倍政権は「集団的自衛権」の行使を容認するという憲法解釈を変更する「閣議決定」をしましたが、これは憲法9条のもとで日本が「戦争をしない国」から「戦争ができる国」への変更であり、横須賀にとっても自衛隊基地が出撃拠点となる重大な問題です。絶対に認めることはできません。
アベノミクスの破綻は明らかであり、経済政策の大転換が求められます。大企業の莫大な利益を蓄積した285兆円におよぶ内部留保を日本経済に還流させ、国民の所得を増やし、家計を温め、日本経済を内需主導の健全な発展の軌道に乗せることこそいま求められている政治の責任です。
市政においても、国がすすめている消費税増税と社会保障の切り捨て政策のもと、教育や福祉、市民サービス、子育て支援の遅れによって全国一の転出超過都市となっています。こうした中で提案されている「横須賀市施設配置適正化計画案」は将来展望を無くし、一層の人口減少を招きかねません。市民の声をしっかり取り入れていく仕組みを構築するなど、住民本位のまちづくりと一体でとり組むよう改善を求めます。
いま、ますます貧困や家庭崩壊、孤立化が広がっています。これを放置すれば、行政需要は増大し、税収が落ち込むことは目に見えています。多くは国政の問題ではありますが、市政に求められているのは、悪政の防波堤となって「住民の福祉の増進」という自治体の本来の役割を発揮することです。
こうした立場から、平和・福祉・教育・くらしなどあらゆる問題で、市民参加を徹底し、市民本位の市政運営にとり組まれますよう強く要望します。
1 介護・福祉・医療、くらし
(一)介護保険制度のもとで、市が公的役割を発揮して施策の拡充をはかる。
① 2014年6月に行われた介護保険制度改正によって、要支援者を保険給付から外そうとする国の誘導が強まっている。これは、利用者、事業者を混乱させ、明らかに介護サービスを低下させるものであり、「横須賀高齢者保健福祉計画(第6期介護保険事業計画を含む)」の実施にあたっては、このような国の誘導を現場に押し付けることはしないこと。また、現場の声をしっかり聞き、反対の意見を国に上げること。
② 保険料・利用料負担が重くサービスを控えている事例や、介護度や要支援ごとに決められたサービス量では足りず自費でサービスを受けている事例など、介護サービスが使えない実態がある。その全体像の把握に努めること。
③ 本市の介護保険料は県内他都市と比べて高額所得者に有利で、低所得者などに負担がかかる保険料体系となっている。保険料の段階設定については、さらなる多段階設定をするよう努めること。介護サービスの充実が、介護保険料の増にならないよう制度の負担割合を変更するとともに低所得者対策を強化するよう制度の改定を国に求めること。
④ 地域包括支援センターが地域支援事業を活発に行えるよう、人員の確保や事業費の増額を図り、国にも増額を要求すること。
⑤ 生活保護水準にある介護被保険者の保険料の減免にあたっては、一般会計で負担し、国・県へ交付要求するよう市の姿勢を改めること。
⑥ 低所得者への利用料の減免については、資産要件(単身世帯で100万円、複数世帯で150万円)を周知するとともに、減免の相談に応じる姿勢を示すこと。また、在宅サービス利用料の減免対象者を生活保護水準の1.3倍とすることを検討するなど、低所得者対策のさらなる拡大に努力すること。
⑦ 2015年度からは原則として介護度3以上でなければ特別養護老人ホームに入所できないことが国の方針として示された。しかし、介護度1・2でも、独居高齢者など家での介護が困難なケースが多々ある。市立の特別養護老人ホームや老人保健施設を建設するなど、行き場のない高齢者を出さないため、公的役割を果たすこと。
⑧ 介護施設に働く職員の状況を、平成23、25年度に行われた2度の「介護従事者アンケート調査」から把握し、さらなる職員の賃金改善や、労働災害である腰痛の予防のため、支援すること。また、介護保険制度にかかわる問題点については、国に改善の意見を提出すること。職員の賃金改善にあたっては、それが保険料負担に跳ね返らないやり方で行えるよう、国にも要求すること。
⑨ 介護、障がい者、子育て支援施設などの施設建設は、事業者に公有地の無償貸し付けはしないという市の方針のもとでは、なかなか前進しない。他都市でもやっているように無償貸し付けに踏み切り、施設建設を促進すること。
(二)高齢者が健康で、明るく、元気にくらせて、介護予防にも役立つように。
① 緊急通報システムの設置台数を増やし、より多くの高齢者の利用を可能とすること。その際、利用者の自己負担額を増やさないこと。また、75歳以上の高齢者には無料を継続すること。
② 地域での介護予防事業やネットワークを広げるために「いきいきふれあいサロン」などをもっと拡充すること。介護保険制度改正により、今後、要支援者に対する予防給付が打ち切られるケースが増えることが心配される。このようなケースをフォローするためにも、地域で支える福祉の受け皿づくりが求められており、その強化を図ること。
③ 総合福祉会館の利用に限らず、各種市施設の高齢者利用料金を「受益者」負担論などの視点だけで考えるのではなく、病気予防や介護予防など広くとらえて、高齢者が元気に活動することを支援する立場から無料にすること。
④ はり・灸・マッサージ施術に対する助成制度であるシニアリフレッシュ事業を今後も継続すること。
⑤ 高齢者の外出する機会を増やすことは介護予防の観点からも経済効果の観点からも重要であり、少しでも外出しやすい状況を作る必要がある。コミュニティバスなど、移動困難地域には、それぞれの地域に合った高齢者の移動手段を市側から積極的に提案するなど、公的な関与を強化する。また、「はつらつシニアパス」は希望者全員が購入できるよう改善されたものの、値上げとなった。高齢者の年金が減り続けているなかで、1万円で購入できるよう、助成額を拡充すること。
⑥ 福祉部・資源循環部の庁内組織や市内の地域組織とも連携しながら、個々の高齢者世帯の実情に対応したゴミ分別収集の実施に向け、モデル地域を選定して試行するなど、ゴミ処理が困難な世帯への支援を強めること。
(三)障がい者(児)福祉の拡充とノーマライゼイションの推進
① 今年1月に日本は障害者権利条約を批准した。この間、障害者基本法の改正や障害者差別解消法、障害者虐待防止法などが制定されたが、まだ不十分な点が指摘されている。更なる障害者施策の向上のため、民間事業者の合理的配慮義務を法的義務にすることや国内人権機関の設立などの法整備を国に求めるとともに、市として次の施策にとり組むこと。
(1) 障害者権利条約の精神を横須賀でも具体化するために、障がい者が参加した検討委員会などを設置し、障がい者権利条例の制定に向け取り組むこと。
(2) 障害者権利条約の中に盛り込まれた「障害によるあらゆる差別の禁止」の中には、「合理的配慮の否定」という新しい考え方が入った。このような新しい理念を市民に広げ、実際の施策にしていくための検討を進めること。そして、これまでの市の施策を見直し、改善すること。
(3) 4月から改定される障害者福祉計画に障害者権利条約の理念を盛り込むこと。
(4) 現在の障害者福祉計画に掲げられている目標において、目標を達成できないと思われるものを検証し、その原因を明らかにすること。そして、次期の計画に反映させ、必ず目標達成できるようにすること。
② 重症心身障がい児者施設の土地購入のための資金借り入れが、後年度の運営費の圧迫にならないよう市として新たな支援策を検討すること。
③ 重症心身障がい児者施設の運営開始には、看護師確保は重要な課題である。市として積極的な支援を図ること。
④ 重症心身障がい児者の入所施設ができ、徐々にサービス供給体制が拡充されてきた。しかし、短期入所事業など、サービス供給が不十分なところがあるため、早期に改善を図ること。また、重症心身障がい児者の緊急一時入所のニーズに対応するため、市民病院、うわまち病院などを緊急措置として活用するなどの対応を行うこと。
⑤ 障害者総合支援法施行から3年が経過し、制度見直し時期を迎える。この法律は、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が2011年8月に提出した骨格提言を大幅に変更するものとなっているので、骨格提言に即した内容とするよう国に改定を求めること。とりわけ、応益負担の導入、ケアマネージメントの導入、地域生活支援事業が市町村の裁量で行われることによる地域格差など、制度の改正を国に求めること。
⑥ 障がい者地域作業所に対する補助を引き続きおこない、以下のように拡充すること。
(1) 障がい者地域作業所の安定的な運営と職員の安定確保を図れるよう、計画的に基本補助額を大幅に引き上げること。補助額の算定は定員を基準にすること。
(2) 重度障がい者を多く受け入れているという実態から、運営要綱の職員の配置基準を2名以上と改定し、補助金の算定基礎とすること。県の障害者地域作業指導事業実施要綱の改定を求めること。
(3) 耐震性の高い安全な建物を確保するという点で、家賃補助額の引き上げを図ると共に市の公共施設の提供を検討すること。
⑦ 民間社会福祉施設への市の単独補助を増額すること。
⑧ 発達障がいに対する正しい理解をひろげるとともに、大人になってから発達障がい害であることがわかった方への相談・支援体制を市として拡充すること。
⑨ 福祉の水準を落とさないように努めるとともに、次のことを実施すること。
(1) 施設やサービス事業者に対する苦情処理の対応を強化し、指導・監査をもっと積極的に行うようにすること。
(2) 障がい者に対する相談体制を充実・強化し、専門職員であるケースワーカーを増員すること。
(3) 知的障害者施設への入所待機者が多いため、市が責任を持って施設整備を進めること。
(4) 在宅サービスのヘルパー派遣の限度額基準の廃止と必要な予算をつけるよう国へ要求すること。
(5) 障がい者の社会参加を広げるためにも、通勤にサービス利用ができるよう国に要請すること。また、通勤が生産活動の一環とはいえ、実際は、雇用者が介護サービスに係る費用を全額交通費に入れることがほとんどないことを考慮に入れ、通勤手当の補助を行うこと。
⑩ グループホームに個室を確保するなどの質的向上を図るため、家賃補助の上限を引き上げるとともに、四分の三補助とすること。国庫助成の増額を求めること。
⑪ 聴覚障がい者からの次の要望を実現すること。
(1)手話通訳者・要約筆記者を専門職として位置づけ、手話通訳報酬をさらに引き上げること。
(2)距離によって異なる手話通訳者・要約筆記者の交通費を通訳料に含めて設定するのは合理性に欠ける。市外への派遣について交通費が支給されるようになったが、市内派遣についても交通費の実費を支給すること。
(3)難聴者への要約筆記の派遣事業は、障がい者手帳を持っている人全部を派遣対象とすること。要約筆記者の養成に力を入れること。
(4)高齢の聴覚障がい者にファックスの活用を研究するなど、日常の安否確認をおこなう体制をとること。
⑫ 市の施設への音声誘導装置の設置をひきつづきすすめること。また、設置については周辺居住者の理解が得られるよう市として、さまざまな工夫をすること。
⑬ 児童相談所を設置した以上、知的障がい児の施設受け入れは市の責任であり、県任せにならないよう、知的障害児施設の早期設置を進めること。
⑭ 重度障がい者医療費助成制度の一部負担金、年齢制限、所得制限を撤回するよう県に求めること。市として一部負担金を助成しているが県が撤回するまで現行通り実施すること。また、精神障がい者への助成については手帳の1級の方だけでなく、対象を拡大するよう対応すること。
⑮ 地域生活支援事業については、大幅に国の予算を増やすよう求めること。
⑯ 障がい者の就労促進のため、市の施設の特性を考慮しながら、指定管理者などの業務委託要件に障がい者雇用を義務付けること。また、指定管理者の障がい者雇用の状況や物品納入などにおける授産施設など障がい者関連施設の活用状況を公表すること。引き続き同じ施設の指定管理を受けようとするときは、障がい者雇用の実績を選考の点数に反映させること
⑰ 岩戸養護学校、武山養護学校の生徒の卒業後の就労、日中活動の場の確保が大変厳しい状況である。市として就労支援の更なる強化とともに日中活動の場を拡大するように積極的に取り組むこと。
⑱ 知的障がい者、精神障がい者の雇用がさらに広がるよう努めること。また、障害者権利条約の趣旨を考えれば、市職員の理解を広げるために雇用するのではなく、障がい者の雇用を広げるために雇用するようにその目的を改めること。
(四)子育て支援を強化し、子どものしあわせを守る。
① 子ども子育て支援新制度の移行に当たっては、保護者、事業者に混乱が生じないよう対応を強めること。
② 小児医療費助成事業は子育てしやすいまちとして、発信力のある施策でもある。義務教育終了まで拡充すること。また、引き続き小児医療費無料化を国の制度にするよう求めること。
③ 保育園の待機乳幼児を解消できるよう増設につとめ、職員の体制も充実すること。
④ 保育料の保護者負担の軽減のため保育料の引き下げを行うこと。
⑤ 私立保育所に対する助成を抜本的に増額すること。
⑥ 保育園再編計画にある公立保育園の民営化の方針をやめること。
⑦ 共同運営の学童保育について以下の要望を実現すること。
(1) 学童クラブ施策の充実も「子育てしやすい横須賀」の発信力となる。運営費補助の充実を含めた支援をさらに拡充し、全国で一番高い保護者負担を現在の半額にできるように努めること。
(2) 指導員の人件費を全額補助し、家賃については公共施設利用が難しい場合は、公共施設を利用している学童保育と格差が生じないよう、全額を補助すること。
(3) 「こどもの貧困」が広がる中、ひとり親世帯への支援は低所得者対策として重要度を増している。各学童保育所で行っているひとり親世帯に対する補助額を増額し、ひとり親世帯の軽減策を拡充すること。
(4) 市が学童保育の施設の耐震調査を行い、耐震化されていなければ、耐震化のための助成をするか、すぐに他の施設に移れるよう対応すること。移行にあたっては、貸主の意向などもあるが、市が責任を持って支援すること。
⑧ 学童保育の設置・運営に対する公設民営方式の導入について検討をはじめること。
⑨ 母子家庭の生活支援、虐待を受けている方たちの支援を強めるため、母子支援施設を再建するなど、施策を強化すること。
(五)市民病院の診療体制を回復・充実させる。
① 市民病院の縮小した診療体制の回復と充実に引き続き取り組むこと。
② 2014年度から市民病院の小児科の入院診療が休止となったことは極めて遺憾である。早期に再開できるように指定管理者に取り組みの強化を求めるとともに市としても最優先課題として取り組むこと。同時に産科の休診は市の周産期医療サービスの低下を招いている。産科再開にむけた取り組みを強化すること。
③ 3つの診療科で入院診療の再開ができたことは評価するものです。しかし、病棟の再開までには至っていないので、早期に病棟が再開できるように取り組むこと。また、病棟再開にとって重要な看護師の確保に市としても全力をあげること。
④ 看護師の確保については、勤務条件などの処遇改善を図るよう指定管理者に要請すること。
⑤ 障がい者医療、難病医療、NICUの対応など、公的病院の役割を踏まえ、市民病院の診療体制の充実を図ること。
⑥ 佐島や長井の地域は乗り換えをしなければ市民病院に行かれないことを考慮し、市民病院として循環バスを走らせること。
(六)国民健康保険の充実をはかる。
① 組合国民健康保険に対する事務費補助を継続し、拡充すること。
② ひとり親医療費、小児医療費、重度障害者医療費の助成を行っている自治体に対し、国は国保の国庫負担金の一部を減額している。このような国のペナルティー措置を止めるよう国に強く求めること。
③ 国民健康保険に対する国庫負担を増額するよう国に要求するとともに、低所得者の負担の軽減をはかること。
④ 国保健全化計画は市民の健康維持と重症化の予防が第1の目的であり、同時に保険料の増にならないようにすることが第2の目的と考える。市は、健診と保健指導の強化に取り組んでいるが、国保財政のための単なる保険料の値上げとならないよう取り組みを進めること。
⑤ 国保制度は社会保障制度である以上、保険料や自己負担の増で診療を受けられないことが絶対にあってはならない。国庫負担の増を含め国に制度の抜本的な見直しを要求すること。
(七)セーフティーネットを強化し、貧困からいのちを守る。
① 介護保険料、国保保険料滞納者に対して実情を深く把握して適切な納付相談をすること。また、納付指導員や職員が直接、本人と接触しないまま資格証を発行するやり方を改めること。納付相談をもっと充実させるため、職員の増員をはかること。また、資格証とは何かの説明を直接本人にしないまま発行することもやめること。
② 生活保護費については、消費税の増税や物価の上昇を勘案し、引き下げるのでなく、引上げるよう国に強く要望すること。
③ 生活保護費の老齢加算の復活を国に要望すること。
④ 生活保護受給者の医療扶助を「医療証方式」にするよう国に強く要望すること。
⑤ 生活保護受給者が入院し、1か月を超えた場合、基準額が23,150円となる。ひとり暮らしの場合、必然的に「寝巻きセット」などを月額で購入することになる。500円程度のセットでも30日で15,000円となり、これだけで基準額の6割以上となる。さらにおむつなどが必要な場合もある。入院した保護受給者の負担を軽減するための方策を講じること。
⑥ 通院の交通費(移送費)は申請すれば支給されることを、対象の生活保護受給者全員に丁寧に周知すること。
⑦ 生活保護制度は生活保護法第1条に謳われているとおり、日本国憲法第25条に規定する理念に基づいて行われている。したがって、生活保護制度の利用は国民にとって権利である。すべての生活保護行政にかかわる職員はこの理念にしっかりと立つこと。
(八)市民のくらしを守るひらかれた行政を。
① 市の各種審議会などの女性委員の比率を、審議会等の設置及び運営に関する要綱に「30パーセント以上を目標とする」と規定してあるように、その実現を図ること。ここ数年25%以上となり目標達成に近づいておりさらに努力すること。
② しょうぶ園、プール、市の施設はできるだけ多くの市民に利用していただくことが、設置目的に合致している。「受益者」負担の原則の考え方を改めることが必要であり、障がい者(含介護付添人)や高齢者、児童が個人使用の場合でも無料で利用できるようにすること。
③ 家庭用一般ゴミ収集を有料化すれば、ゴミ処理に対する市民との協働関係が薄れ市民からの協力が得られなくなることも予想される。減量化にも逆行する恐れがあり、市民や行政の双方にとって痛手となる有料化は、絶対におこなわないこと。
④ ひとり親家庭の上下水道基本料金の減免制度を引き続き行うこと。
⑤ ひとり親の自立支援策を拡充すること。とりわけ、ひとり親の就労支援を抜本的に充実させること。実際に就労につながり収入増につながる就労支援を行うこと。
⑥ ひとり親家庭への支援は給付型、就労支援と明確に分けるのではなく、あまりに所得の低い世帯に対しては中間的な支援として給付型で支援していく施策も設けること。
⑦ 非婚ひとり親の寡婦(夫)控除のみなし適用をただちにはじめること。
⑧ 就学援助対象家庭の基準は生活保護基準1.5を堅持すること。
⑨ 国の生活保護基準の引き下げによって就学援助の対象から外れる世帯に対し、市独自の施策で引き続き就学援助の対象とすること。
⑩ 地方交付税の不足分を臨時財政対策債で地方自治体に肩代わりさせるやり方をやめるよう要求するとともに、国の責任で地方交付税を規定通り交付するよう要求すること。現状のもとでは、発行率を100%にし、現在の市民に対するサービスの充実に活用すること。
⑪ 消費税は所得の低い人ほど重くなる最悪の大衆課税制度であり、福祉の充実には最も向かない税制です。来年10月からの消費税の10%引き上げを行わないように国に求めること。
⑫ 消費税の8%への増税が、市財政に与えたマイナス分を明らかにし、これ以上の消費税増税を行わないように国に求めること。さらに地方財政の拡充を求めること。
⑬ 各種サービスが「受益者」負担の適正化と称して有料化など市民に負担転嫁されているが、財政運営の観点だけでなく、公共が果たす役割や行政目的、市民活動を促進する点を考慮し、これ以上市民負担を増やす料金の値上げは行わないこと。
⑭ 「神奈川臨調」の提言が実施されると市民生活に大きな影響を及ぼす。県営住宅の廃止は、強い反対運動もあり、当面、トーンダウンしたとはいえ、いまだ火種は消えていません。重度障害者医療費助成などの補助金の廃止など、福祉施策として重要なものが削減対象となっている。市民生活を守るため、市として実施しないよう県に強く求めること。
⑮ 「横須賀市施設配置適正化計画案」は、財政問題を中心に検討されているが試算に不確定要素があまりにも多いことや、試算の方法も他の方法との比較検討もない。財政部として施設更新、維持管理、運営の検討資料として持つことを否定するものではないが、38年という長期の見通しは不可能に近い。それを根拠に市全体の施設配置適正化と称して削減計画を立てるのはあまりにも乱暴であるし、科学的でない。まして施設はまちまづくりと密接不可分の関係にあるのにまちづくりの展望が示されていない。さらに、担当部局との調整も実施されていない上、施設を利用している市民の声を全く無視した計画となっている。以上の理由からいま提案されている計画は撤回し、再検討すること。
2 教育・文化・スポーツ
(一)憲法に基づいて教育条件の拡充につとめる。
① 学習指導要領に基づき「国旗」「国家」を指導するのは、教育公務員としての責務としているが、法の付帯決議によれば「強制しない」となっている。日本国憲法第19条には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」とあり、内心の自由を保障している。処分まで持ち出し職務命令で押し付け・強制するやり方はおよそ教育の場にふさわしくない。教職員、児童生徒への押し付けは止めること。
② 「子どもの権利条約」はこれまでの子ども観の変革をも要求するものである。しかし、子どもを取り巻く環境はますます悪化している。国連から勧告されているように早急な改善が必要である。今までやって来たからいいではなく抜本的な子どもを取り巻く環境をよくするために「子どもの権利条例」を制定し、本市の施策の抜本的強化の契機とすること。
③ 小学3年生以上の学年についても早期に35人以下学級になるよう取り組むこと。さらに30人以下学級へも取り組むこと。
④ 不登校児童・生徒の支援については相談教室の拡充や民間団体との連携など様々な取り組みをされているのは承知している。今後はさらに保護者負担を軽減できるように財政的支援にも踏み込み努力すること。
(二)小・中学校の施設を改善し、明るい学校づくりをすすめる。
① 先般行われた(仮称)横須賀給食弁当の試行結果は、残念ながら中学校給食のニーズに応えられる内容とは言い難い。「子育てするなら横須賀」を標榜するなら、本気で中学校完全給食に向け踏み出すこと。
② 「横須賀市施設配置適正化計画案」では9校が統廃合対象に上げられているが、これは教育委員会の統廃合方針と齟齬を生ずる可能性がある。学校の統廃合は教育委員会の所管事項であり、何よりも教育的観点から検討されるべき問題である。教育委員会の主体性を尊重すること。
③ 学校の修繕などは市の施策の中でも優先して行うべきである。学校現場からの要望に予算を組んで施設の改修にあたること。
④ 格差社会が拡大し、保護者の経済状況が悪化している。経済格差が教育格差にならないよう、教育予算を充分に保障し、義務教育無償の原則をつらぬくこと。また、こうした立場から公費負担とすべきものの標準を見直すこと。
⑤ 自校にプールがないために、交通機関を使って移動し水泳授業を行わざるを得ない児童生徒がいる。これでは教育の機会均等とは言えない。学校プールの全校設置を早期に実現すること。すくなくとも安全に移動できるようバスの増便なども視野に入れること。「施設配置適正化計画案」で廃止となっているが、地元をはじめとする市民の同意が得られない公園プールは廃止しないこと。
⑥ 各学校のトイレ(第二系列)改修をすすめること。
(三)障がい児教育の充実をはかる。
① 同性介護の視点から男性介助員を増員すること。広く公募を呼びかけるとともに、介助員の待遇改善をはかること。
② 市立養護学校の教員は専門教育を履修した教師を重視した配置を検討すること。また普通校からの転任の場合は、転任してから特別支援学校免許状を取得するのではなく、十分な研修や専門的な教育を転任に先行して行えるよう工夫、検討すること。
(四)高校教育の改善と充実をはかる。
① 全日制高校への進学率を向上させるため、公立全日制の募集枠を拡大することなど、希望者が全員進学できるよう県と協議する中で努力すること。
② 保護者負担を軽減するため、引き続き私立高校への助成に増額の努力をすること。保護者の経済的理由で退学する生徒が出ないよう特別の配慮をすること。
③ 欧州などに比べ日本は教育費が高く家計を圧迫している状況である。また、こどもの貧困も広がっている。高校の授業料の無償化を継続するよう国に求めること。市立学校の授業料等に関する条例第6条の滞納者の措置に関わる規定を削除すること。また、修業年限を3年に限定しないようにすること。
④ 経済的理由で勉学の機会が失われることがあってはならない。奨学金を受ける資格のある生徒が応募した場合、全員が受けられるよう制度の拡充をはかること。
⑤ 市立総合高校を中・高一貫校にする検討では明らかな方向性としては示されなかった。公教育として一部の学校だけを特別に扱うのは好ましくないので、止めること。
(五)文化・スポーツ施策の充実をはかる。
① 「横須賀市施設配置適正化計画案」では、教育・文化に関する施設の削減が多く含まれている。しかし、削減の理由が財政面を中心になされており、文化・歴史の位置づけが全く見られない。まちづくり全体に関わる問題なので、文化・歴史を大切にする観点から削減対象になっている教育委員会所管の施設について教育委員会としても深く検討し、市長部局との協議に生かすこと。
② 佐原に所在する佐原十郎義連城跡関連の石碑は学術的調査に基づいて実証されていないとのことだが、このことで、調査を終了とするのではなく、引き続き調査を継続すること。また、三浦一族の研究をさらに進めること。
③ 南体育館、西体育館のエレベーター設置は構造上の困難があるが、外付けなども含め工法の研究をするなど優先的にすすめること。市内の施設のバリアフリー化をさらに推進すること。
④ 美術館を博物館法の不適用施設にしようとしているが、その目的が示されていない。これでは、学芸員を置かなくともいい施設となり安上がりの指定管理に道を開くことになる。市長部局への移管の方向ではなく、美術館がいままで果たしてきた役割をさらに充実させ、市民に親しまれる施設として努力すること。
⑤ 横須賀市博物館は、全国的にも高く評価されている。いっそう発展させるために不足している収蔵庫の増設、研究予算の増額をすること。
⑥ 近代産業の発祥の地として、米軍基地内や住友重機械工業内などに存在する産業遺産の調査、収集、保存、公開をすすめること。
3 防災、まちづくり、環境
(一)防災と安心のまちづくりを。
① 急傾斜地崩壊危険区域・土砂災害警戒区域・地すべり防止区域に指定された地域での防災対策を、ハード・ソフト両面より推進すること。特に、京急沿線脇の崖については、崖の崩落による脱線事故がおきていることから、京急や県、国土交通省にも万全の措置をとるよう強く要請するなど、全力をあげること。また、集中豪雨が多くなっていることから、住民啓発にも努めること。
② JR・京急線各駅にホームドアを設置するよう各社に求めること。
③ マンションの耐震化改修への助成をすすめること。財政難とのことだが、防災の観点から、優先度を高めて取り組むこと。
④ 「消防力の整備指針」の基準人員数の達成に特段の努力をすること。現在、充足率は7割台とのことだが、早期に達成するよう計画をもって努力すること。
⑤ 保育園・幼稚園・学童保育などこども関連施設、作業所など福祉関連施設における要援護者を災害から守るため、避難マニュアルが未作成であったり、防災訓練を実施していない施設に対し、市が支援し推進すること。
(二)放射能災害対策を抜本的に強化する。
① 除染土砂埋設地の測定を今後も引き続き行うこと。こどもの周辺環境、特に、保育園・幼稚園・学校の雨どいの下や通園路・通学路の側溝など、放射性物質が溜まりやすいところの放射線の測定を継続して実施し、放射能データの推移を蓄積・分析し、長期にわたる放射能被害から市民の健康を守るため、周知や注意喚起など、適宜広報していくこと。また、除染した物質の仮置状態を早期に解消すること。それまでは、埋設場所をこどもにもわかるようにはっきりと表示すること。
② 学校給食の放射能測定は2011年から行い、ホームページでも確認できる。引き続き監視体制を強化すること。
③ 脱原発の立場を明確に表明し、その立場から核燃料工場GNF-Jについては、核燃料生産から自然エネルギー生産への転換を求める。
(三)自然エネルギーへの転換、環境優先の行政を推進する。
① 「低炭素で持続可能なよこすか戦略プラン」は原発依存の脱却や東京電力久里浜火力発電所の再開などで見直しが求められている。国や東京電力久里浜火力発電所の動向を見ているだけではなく、本市として主体的に論点整理をし、方針を出すこと。
② 太陽光発電施設への助成については神奈川県の事業見直しにより、廃止の方向となったが、本市独自でも進めるよう努力すること。また、いわゆる「屋根貸し事業」は公共施設の屋上や空地をさらに利用し、一般会計のみならず、事業会計部分の施設へも取り組みを拡大すること。自然エネルギーへの転換をすすめ、原発依存からの脱却を推進すること。
③ ゴミの発生抑制、減量化、資源化をすすめるため、植木せん定枝は再資源化し焼却と埋め立て処分の減量を図ることやゴミ処理新施設建設において前提となっている廃プラスチックのサーマルリサイクル方針を撤回すること。焼却量の見直しをして過大な施設建設にならないようにすること。
④ 持続可能な社会に向けた環境問題はますます重要性を増し、資源保全、自然エネルギー化と低エネルギー社会の形成、二酸化炭素排出削減、放射能汚染からの防御などの取り組みも前進してきている。今まで以上に環境教育の拡充に努めること。
(四)都市計画への市民参加を保障し、住みよいまちづくりを市民とともにすすめる。
① 住友重機械工業が閉鎖されすでに十年以上が経過している。イベントなどで、跡地を利用することが可能ではあるが、依然として工場建屋が「放置」されており市外から訪れる観光者にとっても、住民にとってもまちづくりや景観の点でマイナスとなっている。住友重機械工業は事業全体の先送りを市に伝えてきているというが、市の立場をしっかり伝えさらに粘り強く交渉を続けできる限り土地の無償提供を求めること。
② 長引く不況の中で、許可を出した時点では経営状況が良かった企業でも、開発行為の途中で急変するケースもある。万一開発現場が中断したさいには、急斜面地の土砂災害に至らぬようにするなど、地域住民の不安解消のために最大限努力すること。また、都市計画法の改正、防災保証金制度の創設を国に働きかけるなど、引き続き国、県とも協議していくこと。
③ 東京湾口横断道路計画については、国は個別の調査を止め、市も予算を用いた積極的な誘致事業等は止めている。この際、市として国の動向を注視するという態度を脱して地域主権の観点から国に対してキッパリと廃止を求めること。
④ 金田湾沖への首都圏第三空港の立地は、環境、安全、財政、アクセスなど多岐にわたる問題が存在しており、また住民にとって必要性が乏しく合意も得られていない。候補地の要望を取り下げ、誘致活動はやめるという政策の転換をはかること。
⑤ みどりの保全と創造につとめ環境や景観にすぐれたまちづくりに引き続き取り組むこと。土地開発公社から買い受けた緑地を保全するとともに、緑地保全に逆行するような市有地売却を止めること。傾斜地山林寄付に係る受納基準は、寄付者の負担を減らす方向で見直しを検討すること。
⑥ みどり保全の立場からY-HEART計画は中止し、この場所へのナショナルトレーニングセンターの誘致はやめること。計画地を調整区域に戻すこと。
(五)便利で快適なくらしを実現するために
① 以下の整備を行い、通行者の安全や地域の活性化をはかること。
(1) JRに働きかけ、久里浜駅南側の引き込み線の廃止・撤去を含め、通行者に迷惑が及ばないようにすること。
(2) 津久井のみかん園・いちご園・いも掘りなどで観光バスを含め訪れる人は大変多い。津久井高田橋~牛込間の市道拡幅については、交流人口の増加と地域活性化などの観点から取り組みの位置づけを高め、地元の地主や関係者と協議を促進すること。
(3) 長沢2丁目、野比1丁目(五明山入り口)の京急踏切を拡幅すること。
② 交通の利便性をはかるため、引き続き努力すること
(1) バスの継続乗り継ぎ(鴨居から久里浜。林経由市民病院行きなど)制度がないので料金負担が多くなる。継続乗り継ぎ扱いの実現をはかること。
(2) 市民の要望に応えバス路線の増設とバスの増発をはかるよう京急に求めること。
③ ノンステップバスは2020年までに導入率を70%とすることが目標とされているが、今般の「超高齢社会」の状況を鑑みた際にそれでは到底対応できないと思われる。事業者にも努力を強力に要請し前倒しで目標が達成できるように、さらには100%となるようすすめていくこと。
④ 「市営住宅ストック総合活用計画」では神奈川県内では本市が最も公営住宅の設置率が高く、申込み世帯数が減少傾向にあるとしている。しかし、応募倍率が高いところもあり、毎回千世帯もの応募があるので新規建設や立て替えを行わないというのではなく、必要な立て替えをおこない、基本的人権を守るという立場に立って、市民に安価で良質な住居を提供する努力を続けること。
⑤ 市営プールの廃止計画を撤回するとともに、トイレの洋式化を期限を決めて行うよう計画策定すること。
⑥ 過剰設備のしわ寄せが水道料金の値上げとなって市民の負担にならないようにすること。また、設備の廃止や縮小に要する費用については、過剰設備を政策誘導してきた国の責任として補助金を出すよう国に要求すること。
⑦ 大口需要者の進出時には大口径管の敷設や給水に万全を期してきたが、投資資産の未償却の状態で企業の移転・撤退がおこなわれると、その負担は市民が負うことになる。大口需要者である企業の移転・撤退に伴う企業負担のあり方について、(例えば、当該投資資産の減価償却残存部分についての一定率負担を要求するなど)ルールづくりを検討すること。また、国にも検討を求めること
⑧ 水道水の需要増加が見込めないもとで、累進制を緩めて需要増を期待する向きもあるようだが、需要増にならず料金収入を減らすだけになる恐れが懸念される。上水道・下水道とも月量500トン止まりになっている料金体系は改めるべきである。他事業者のように月量500トン以上にもランクを設けた累進制の料金体系にして、中小業者や一般家庭の値上げを抑えること。
⑨ ひとり暮らし高齢者などの負担を実情に合わせるために、基本水量を月8トン以下に引き下げることを、早急に決断すること。
⑩ 公道に個人住宅用の水道管を敷設する場合は給水者の責任で敷設すること。
4 産業と地域経済
(一)大企業の社会的責任を果たさせ、正規雇用拡大、地域経済を守る。
① 大企業の進出・移転・撤退・リストラなどに対し、横須賀市中小企業振興基本条例に掲げられた「企業の役割」なども用いて適切な対応を図ること。また、国に対し移転・撤退などにおける自治体への影響を軽減するための法整備を求めること。企業動向については早期の情報把握につとめること。市の奨励策は市民と中小企業の支援により重点をシフトすること。
② 市が奨励金を出すなどの企業誘致策の最大の目的は市民の雇用の拡大であるので、地元雇用の拡大につながるような施策の展開をすること。
③「規制緩和」政策で不安定雇用者が急増している。そのもとで、「ブラック企業」と呼ばれる働かせ方をする企業も現れ、若者などを苦しめている。非正規雇用を規制する労働法制の改定を市としても国に要求するとともに、市民、特に若者や女性が仕事や生活において苦しまないよう、労働相談や労働実態の調査などに力を入れて取り組むこと。また、中小企業に対しては国が援助することを含め、最低賃金を1,000円以上にするよう尽力すること。
(二)農・漁業を振興する。
① 食料の自給率向上、食の安全という観点に立つとともに、「地産地消」の取り組みをさらにすすめること。さらに市内であまり流通していない地場産の食材を生かし、活用する取り組みを進めること。
② 相模湾の原潜行動(訓練)区域の解消を国に要求すること。
(三)中小企業・商店の営業を守るとともに、地域経済の基盤を強化する。
① 住宅リフォーム助成制度は、市内経済活性化のきっかけとして、事業者に喜ばれ、一方、応募件数も当初見込みを上回り要望も多かった。市民にとって使い勝手を良くするとともに、新年度も思い切った予算計上につとめること。
②「横須賀市中小企業振興基本条例」を生かした施策を具体化すること。また、県の「中小企業活性化推進条例」を活用し、市としても総合的な中小企業振興策を抜本的に強化すること。
③ 県内でも、川崎市につづき相模原市でも公契約条例が制定された。本市においても国の法整備を待つという姿勢を改め、公契約条例の制定を進めること。また、ILO94号条約「公契約における労働条項に関する条約」の批准を国に求め、この条約の理念を生かす取り組みを進めること。
④ 地元小売商店振興策を抜本的に充実すること。商店街の空き店舗対策、商店街の活性化事業補助及び地域商店街における地域商業振興ビジョンの策定、中小企業団体共同施設補助などをすすめ、関係者とともに実現に努力すること。
⑤ 入札制度の改善が取り組まれているが、引き続き地元への受注拡大に向けて取り組むこと。また、災害時の協定を結んでいる団体などには、地域貢献企業として評価点を加えること。
⑥ 入札の不調が増えているが、その原因を調査し、改善するとともに地元の建設業者に対する研修費の補助などを強化し、人材育成支援に積極的に取り組むこと。
⑦ 近年、労務単価の引き上げが続いているが、労務単価の上昇分が現場の作業員の賃金増につながっているか調査すること。
5 非核・平和、基地問題
(一)有事体制に反対し、平和憲法・軍転法に徹した市政運営を。
① 横須賀市長として、第9条をはじめとする平和憲法を擁護する立場を明確にし、憲法に対する市長の考え方を明らかにすること。
② 市民の平和と安全を守るためには、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定や特定秘密保護法の撤回こそ必要である。国に撤回を求めるとともに、市として「国民保護計画」に関連する予算措置をおこなわないこと。
③ 「日米親善よこすかスプリングフェスタ」や「よこすかみこしパレード」など基地の観光化政策などの継続は基地依存からの脱却に反し、軍転法の趣旨にも合わないので止めること。“よき隣人政策”は米国の軍事政策の一環であり、これに呼応するような施策は外国との真の友好関係とは非なるものであり、基地が存在する自治体として行うべきでないことから直ちに止めること。
④ 戦前、戦後の暮らしや戦災などの貴重な資料を散逸から守るとともに、戦跡の保存につとめ、反核平和に関する資料とともに収集・管理・展示の諸活動を充実発展させること。特に、千代ケ崎砲台のように貝山地下壕を史跡として申請し、保存・管理・展示・公開ができるようにすること。当面市として早く補修をし、見学を再開させること。
⑤ 米空母の横須賀母港化にあたり核持ち込みを容認した核密約が存在していたことが明らかとなり、横須賀に核が持ち込まれていたことが否定できないことが明確となった。この密約がいまだに破棄されていないので、破棄するように求めること。
⑥ 「核兵器廃絶・平和都市」宣言をしている責務として、市の姿勢を積極的に示し、核密約の廃棄を要求するとともに、非核三原則の法制化を国に強く要請すること。
⑦ 市の港湾管理区域に入るときに核兵器を所持していない旨の証明書を提出するようすべての軍艦に義務付けること。
⑧ 「核兵器廃絶・平和都市」宣言の横須賀市長として核兵器廃絶のイニシアチブを発揮すること。また、これまで市が行ってきた平和啓発事業に加え、平和市長会議や日本非核宣言自治体協議会に参加するなど、横須賀が参加することの重みを考慮に入れた取り組みを進めること。
(二)原子力空母の交代を認めず、横須賀配備撤回と基地返還を促進する。
① 福島原発事故、三浦半島活断層群による地震発生確率増の報道などにより、原子力空母など原子力艦への不安が市民の中に広がっている。原子力空母を現実のものとして受け止めるだけでは市民の安心・安全を確保することができない。原子力災害の防災対策の万全を求めるとともに、一番確実な安全対策として原子力空母の交代はもとより、横須賀配備を撤回するよう国に求めること。
② 第七艦隊のすべての艦船の母港取り消しを要求すること。
③ 長井住宅跡地の通信施設の早期返還を求めること。
④ 日米地位協定第2条3項では「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討する」としている。水上機の滑走水域として設定された漁業制限水域は、水上機がないもとでは必要がないと思われるが、国は、「米軍が運用上必要なものであるため、漁業制限をしているものと承知しており、返還を求める考えはない」としている。市として国に「使用実績を明らかにするよう」求めること。さらに制限水域の解消を求めること。
⑤ 相模湾の原潜行動(訓練)区域の解消を国に要求すること。
⑥ 旧軍港市転換法は「平和産業港湾都市に転換することにより、平和日本実現の理想達成に寄与することを目的」としている。関東自動車の工場跡地や市営長浦埠頭を自衛隊が取得し使用していることなどは、明らかに自衛隊基地の強化・拡張であり、「軍転法」がめざした都市像に逆行している。固定資産税収入も得られず、市民にとって後退といえる。今後これ以上の基地機能の強化・拡張がされないよう防止策を講ずること。また、「軍転法」の適用を回避して、所管替えによる防衛施設の拡大を認めないこと。
⑦ 大矢部弾薬庫跡地の文化財を市民の財産としてしっかり維持管理すること。跡地の利用計画を市民参加で作成すること。横須賀市への無償譲渡を国に求めるとともに、暫定的にでも市民に解放するなど、市民本位の利用をすすめること。
⑧ 米軍基地の返還を促進するため、住民参加で基地跡地利用計画をつくり、都市計画決定をすること。計画の実現のため関係機関に基地返還を積極的に働きかけること。
(三)基地被害から市民を守り、市財政負担をなくす。
① 原子力空母のメンテナンスは「通常のメンテナンスである」とする国の説明を鵜呑みせず、その内容を具体的に明らかにさせるとともに、直ちにやめるよう、米軍に求めること。
② 原子力艦船に対する防災対策を強化するため、福島原発事故の教訓を活かして原子力災害対策特別措置法を抜本的に強化・拡充することを国に求めるとともに、原子力軍艦にも適用するよう国に求めること。「原子力艦の原子力災害対策マニュアル」の早期改訂を求め、少なくとも国内の原子力発電所の防災対策と同等以上のものにするよう国に要求するとともに、地域防災計画原子力災害対策計画編の改訂を早急にすすめること。横須賀市が国に求めている政府見解が未だに示されていないが、地域防災計画の改定は横須賀市の責任で策定されるもので、いつまでも放置されるべきではない。また、地域防災計画原子力災害対策計画が滞っているもとでは、原子力空母の交代などは絶対に認められない。こうした立場からも原子力空母の配備撤回を国に強く求めること。
③ 市の原子力防災対策は地域防災基本計画に定められた内容で行うことが基本である。根拠法令もないまま米軍との防災訓練をするのではなく、地域防災基本計画に基づいて米軍、市民も参加した訓練に改めるようにすること。また、応急対応範囲とファクトシートの記述の違いの改善については、応急対応範囲を決めた旧原子力安全委員会を継承している原子力規制委員会に諮問するなど、専門家の検証を国に求めること。当面は最低限、福島原発事故の教訓を生かした防災避難訓練に取り組むこと。
④「テロ対策」と称して実施している原潜入港通告の非公開臨時措置をやめること。
⑤ ごみ・排水処理など米軍基地の公害防止のため市独自の立ち入り調査を要求し市民生活に関する国内法を遵守させること。そのためにも、地位協定の見直しを要求すること。
⑥ 米軍人の市内居住に反対し、米軍人、軍属に対する税の特権的減免を廃止するよう引き続き国に要求する。また、米軍がすすめている民間住宅提携プログラム(RPP)は実質的な基地拡張である。可能な限りの基地の縮小・返還という本市のスタンスとも相容れないものであり、反対の意思をハッキリと示すこと。
⑦ 市民税を納入せず市内に居住している米軍人、軍属のゴミ処理、し尿処理、下水道の料金は処理コスト(施設建設、管理運営、人件費などを含む)で算出した実費を米軍に要求すること。これら軍関係の経費については、普通交付税において、基準財政需要額のなかで見られているというが、基地外居住が増加している昨今、どういう計算でそうなっているのか、実際に要している額との比較・検証を国にも問い合わせをして、市民に納得できる説明をすること。
⑧ 屈辱的な刑事裁判権規定を改めることや日本側の立ち入り調査権を設けることなど、地位協定の抜本的見直しを国に要求する。また、第一次裁判権の放棄を指示した法務省通達の破棄などをつよく国に要求すること。
⑨ 米兵による痛ましい事件が後を絶たない。米兵犯罪根絶のためには、「友好関係」を断絶するなどの厳しい対応が求められる。また、事件が起こった場合には必ず文書で厳しく抗議し再発防止策を求め、実施報告を要求すること。米兵犯罪の被害者に対して、被害者の立場に立って相談をするなど、支援をすること。また、基地周辺地区安全対策協議会が、基地周辺の商店街の要望を聞く会になってはいないか、被害者も出席して意見を述べることが出来ているのかなど、設置された当初の思いに立ち返り、検証・是正をはかること。
⑩ 市財政を充実させる立場からも、横須賀の経済的発展を阻害している米軍基地の返還を強く求めること。返還されるまでは基地交付金の大幅増額を国に要求すること。その際基地の存在による損失額などを算定し、増額要求の根拠を明らかにして臨むこと。